テーマ解説
7. みらいのタネをいま植えよう!
いま日本では、生産者の数は増えているのでしょうか。減っているのでしょうか。新たに農業を始められる方もいるのですが、残念ながら毎年5.6万人のペースで生産者の数は減少しています。また、生産者の平均年齢は68.4歳(2022年)と高齢化が進んでおり、農地も今後さらに減少することが予測されています。
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現在の日本は、たった2人の生産者で100人の食を支えている状況にあります。しかも、その生産者のうち約70%が65歳以上となっています。
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耕作放棄地も増えており、農地はピーク時から約176万ヘクタール、四国と同じくらいの面積が減少しています。それは、土砂崩れや洪水などの自然災害や獣害の甚大化につながる危険な状況でもあります。
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広大な平地を有する農業先進国では大型機械を使った農業の大規模化が進み、効率的な農業生産が可能になっていますが、山が多く平坦な土地の多い日本では難しいと言われています。
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そんな日本の「食」をとりまくリスクに備えて、JAグループでは「国」民が必要とし「消」費する食料は、できるだけその「国」で生「産」する、『国消国産』という考え方を提唱しています。
この『国消国産』を実践することは、食材の長距離輸送にともなうCO2の排出削減など環境への負荷を減らし、持続可能な食料、農業、地域社会の確立などSDGs(持続可能な開発目標)の実現に貢献する取組みです。
(例.ゴール2「飢餓をゼロに」、ゴール12「つくる責任 つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的対策を」など)
このように、『国消国産』をすすめることは、食料を海外からの輸入にあまり依存しない、つまり開発途上国の食を奪わず、国内の食料自給率を高めること、食料の安全保障の確立につながる行動です。
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JAグループでは、こども食堂への食材提供、農業従事者への各種支援、フードロス削減などさまざまな活動を展開し、日本の「食」と「農」を未来へつなぎ、持続可能な地域農業・地域社会づくりを目指してSDGsの活動に取り組んでいます。
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環境保全型農業や国内外のフェアトレードの推進、農福連携の推進、農業労働力支援による雇用創出、テクノロジーを駆使したスマート農業の支援、農業施設を利用した太陽光発電支援事業。そして、さまざまなスタートアップ支援プログラムを通じた農業ビジネスの活性化など、未来に向けて新たな活動を増やしています。
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四国が消えた!?
色鮮やかな田畑が広がる日本の農村風景。しかしその景色も年々失われ、ピーク時(1961年)には608.6万haあった農地面積が、2022年には432.5万haに。その差、176.1万ha。約60年の間に四国と同じくらいの面積の農地が消失しているのです。農地が減ると農作物の生産も減り、食料自給率がさらに低下することに。今すぐみんなで、できることから始めていきませんか。