女性たちの活動を応援し、元気な社会をつくる。

農業を支える女性たちのグループ活動が地域活性化の源。
~JAにじ(福岡県)の多彩な女性組織の活動~

女性グループがヒット商品を生んだ

この新聞広告は、第28回読売広告大賞食生活部門最優秀賞を受賞しました。

「もったいない」から生まれたヒット商品「柿スライス」。大きな柿1個から5〜6枚しか作れない貴重品です。

昨年から全日空の機内食用の食材に採用された福岡県JAにじのオリジナル商品「柿スライス」は、甘柿の代表的品種である富有柿のドライフルーツ。
しっとりした食感を残した半生タイプで、上品な甘さとヘルシーさから、ネットショップなどでも根強い人気を誇る商品です。

じつは、この「柿スライス」を商品化したのはJAにじの女性12人が2000年に結成した「柿加工グループ」。
メンバーは全員、農家の主婦で、農作業と家事を終えた夜7時過ぎに集まり、加工作業をしています。

JAにじのある福岡県うきは市は大分県との県境にある山里。
梨、ぶどう、いちご、キウイ、桃などを生産するフルーツ王国です。
とくに富有柿では、日本有数の大産地。それだけに、規格外品の数もハンパではありません。
「柿加工グループ」代表の松岡ヨシ子さんは「同じように育てても、どうしても規格外品が出る。
それらは価格がつかないので、売るに売れません。しかし、捨ててしまうのは、しのびないし、もったいない。
なんとかしたい一心で、最初はボランティアで始めました」と振り返ります。

「柿スライス」の誕生をきっかけに、続々と加工を手がける女性グループが誕生し、多くの商品が生まれ始めました。
たとえば、05年に、漫画家のやくみつるさんが審査委員長を務める「一村逸品大賞」(主催・日本農業新聞)を受賞した柿ドレッシングは、01年に女性7人が結成した「うきはフルーツ愛好会」が商品開発したものです。

星の数ほどグループを

柿から生まれた、うきはの新商品 JAにじの女性グループ

一昔前は、力仕事が多かったため、男社会のイメージが強かった農村ですが、今では加工品の製造や直売事業、農家レストランなど、女性の活躍の場が広がっています。農家の主婦から"女性起業家"へと転身した女性も少なくありません。

うきは市の場合、地域の自主活動グループが、女性起業を生み出す基盤のひとつ。現在では、地域で413ものグループがあり、農産加工から廃油せっけん製造などのエコ活動、フラダンスなどの趣味まで、活動内容は多岐に渡ります。
この背景には、「星の数ほどグループを!」を合い言葉にグループの結成を呼びかけ、支援してきたJAの存在があります。

「今、農作業の6割以上を支えているのは女性です。
女性のパワーなしに今の農業は成り立ちません。
そのパワーを生かしてもらえる環境を作ることが、地域の絆を深め、地域を元気にすることにもつながると考えています」と、JAにじの足立武敏組合長。加工事業・直売事業で消費と生産をつなぎ、エコ活動で地域の環境を守る。
グループ活動を通じた女性たちのネットワークは、地域のパワーの源にもなっているようです。

小規模な地域型経済が文化と景観を支える
地域に根付くJAだからこそできる仕事がそこにある

「耳納(みのう)の里」。農産物直売所「まんてん市場」

JAにじの女性たちの活動拠点になっているのが、2004年、うきは市のシンボル・耳納(みのう)連山の麓に。JAが建設した都市・農村交流施設「耳納の里」。
農産物直売所「まんてん市場」、農家料理レストラン「夢キッチン」、パン工房や豆腐工房などが集まる「食彩館」など、地域の食材と、女性たちの知恵や加工・調理技術が生み出す旬の味が人気の観光スポットになっています。

JAにじ 足立武敏組合長

さて、もともと農村の女性たちは、生活の知恵として、農産物を加工・保存するさまざまな技術を持っています。JAにじでは、その技術を生かしてもらうため、加工施設の建設や加工器具の購入、販路としての直売所の建設などを進めてきました。
一方でグループ活動を支援するリーダーを「文化協力員」として育成するなど、ハード面、ソフト面の両方から、女性たちの活動を支えています。

「昔の農村では、集落ごとに女性組織がありましたが、今は、都市化が進み、女性のライフスタイルも多様化しました。
それなら、集落の枠にこだわらず、意欲のある女性たちがテーマごとにグループを立ち上げ、やりたいことをやれる仕組みを考えた結果が、このかたちです」と、JAにじの足立武敏組合長。
昔から農家の主婦の力は農村社会を影で支えてきました。
その力が今、表にも出始めてきたのです。
農村のあり方が少しずつ変わってきたといえるでしょう。

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