【事例3】宮城県石巻市立蛇田小学校

「稲が育つには、どんな条件が必要?」そう子ども達に自分で考えさせて、今年もグループ学習でバケツ稲に取り組んだのは、宮城県石巻市立蛇田小学校です。農家の苦労や工夫を感じると共に、米づくりに関心を持たせるため、学校田と一緒に勉強しました。取り組みを通じて、子ども達も「将来、農家になりたい!」と希望を持つようになりました。東日本大震災にも負けずに、地域の人達やJAと共に、子ども達の食農教育を守った学校の取り組みを紹介します。

宮城県 石巻市立蛇田小学校 5年生

テーマ 「実りの蛇田、わくわくへび田んぼ」
取り組みの年 平成23年
指導 星 一義教諭 ほか

学校田の学習の間を埋めるためにスタート

蛇田小学校では、地域の地主さんに田んぼを借りて、学校田としての学習をしています。
学校田では農業の重要な仕事である、田植えや稲刈り等を体験できます。
ただ、毎日稲を観察するのは難しいので、バケツ稲づくりを並行して行いました。
参加したのは、5年生3クラス全員。
総合学習を「わくわくタイム」と名付け、1年分50時間をかけて取り組みました。

テーマは子ども達の提案

バケツ稲づくりでは、子ども達自身にテーマを決めてもらい観察しました。グループごとに1テーマを設けました(テーマは下記)。

テーマの一例 日当たりの有無、芽出しの有無、直まき、生き物(ミミズ等)、時期を変える、お酢・砂糖・塩・お茶・色水を入れてみる、室内外、水の量、肥料の有無、品種別など

テーマの中には、大人の目からみれば、明らかに失敗しそうなものがありますが、学年主任の星先生は、あえて止めなかったそうです。

「子ども達の発想を生かすことが大事です。それに思いがけない結果がでることもあります」。例えば、お酢を少し入れたものはよく育つという結果が出たとか。理由はまだ分からないそうですが、子ども達の頑張りが実を結んだのでしょう。

集中を途切れさせないグループ観察

同校がグループ観察にした理由は、子ども達に責任をきちんと持たせることができるからだそうです。
バケツ稲にありがちな失敗の一つに、夏休みに水やりを忘れて枯らしてしまうことがありますが、グループならお互いに注意し合うことができます。また、星先生は夏休みにグループが重ならないように、5枚の観察ノートの記入を設定しました。
少なくとも1週間に1度、誰かが見ることにより、どのグループも枯らすことなく最後まで観察できました。

最後は社会貢献まで学ぶ

テーマ別に観察した後は、その結果を持ち寄って、興味のわいたことについて調べ学習をします。
例えば、学校田でつくったもち米とうるち米の比較から発展し、日本中の品種を調べました。食については、日常の食べ方から他の国の料理まで調べました。収穫祭では、昔ながらの稲こきや精米を学びました。この時に指導していただいた方、お世話になった方へ、感謝を込めて招待しました。
さらに、学習は社会貢献へ広がります。学校田と地主さんの厚意で提供していただいたお米を合わせ、募金活動を行った時に、ご協力いただいた方にお礼として差し上げました。集まった募金は、ユニセフや、社会福祉協議会などに贈ったり、介護施設などに寄贈するぞうきんなどを作る原資にしました。

「農家になりたい」子どもも

一年間、お米づくりに携わった子ども達には、「農家になりたい」という子もいるそうです。震災後の厳しい食事情の中で、食べ物のありがたみを実感したこともあって、食べ物を大切にする意識も芽生えました。努力した先生方の熱意が実ったのだと思います。
星先生は「ヒマワリやアサガオの観察とは違い、米づくりは世話が欠かせず大変です。体験すれば農家の方の苦労が分かります。続けるか迷ったこともあります が、地域の方のバックアップも得られました。やっていて本当に良かった。今後もぜひ続けたいと思います」と今後の希望をお話しいただけました。

マニュアルのダウンロード

文:バケツ稲づくり相談員 小栗 千歌枝

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