過去の事例のご紹介

バケツ稲づくり相談室では、全国からの問い合わせに対応するため、北海道「ななつぼし」、青森県「まっしぐら」、秋田県「あきたこまち」、鹿児島県「あきほなみ」、セットの品種、「コシヒカリ」と「日本晴」、黒米「朝紫」を栽培しています。これまでもたくさんの方々に取り組んでいただいた「バケツ稲づくり」を通して、さまざまなことを体験して、感じて、学んでいただけたのではないかと思います。

今回は、これからバケツ稲づくりに取り組んでみたいと考えているみなさんに、過去の取組の中から第13回と第19回の種もみセット配布時に寄せられた、個人と団体の取り組み内容をご紹介します。

第13回個人:福島県6年生

研究内容

さまざまな肥料、土質による成長の違いを研究した。何も入れない黒土と、肥料や土を組み合わせた13種類のバケツで、週ごと、月ごとの成長を記録。草丈、株の増え方、ミジンコの発生状況、雑草のでぐあい、オタマジャクシや昆虫、クモの発見を記入しながらJA新ふくしまのみなさんに病気や育て方を教えてもらった。

学んだことや状況の変化

2つのことを学んだ。肥料といってもいろいろな種類があり、それぞれ個性をもっていること。例えば有機肥料はゆっくり効くのが特徴なので、夏に与えても成長する時に間に合わない。そればかりか、気温の上昇で肥料が発酵するから変な匂いを感じるときもあった。2つめは、自然との関係。田の土を入れたバケツにはヤゴやオタマジャクシがいたが、化学肥料を使ったバケツには生き物がいなかった。虫も生きられる田んぼが「健康な田んぼ」といえると思った。

感想

これからは、おいしくて安全、なおかつ大量に収獲できる米を作りたい。

第13回団体:福島県小学5年生のクラス

研究内容

調査研究項目は成長記録をとり続けながら、それぞれが役割を分担。比較研究は土の量、土の質、水の量、肥料、株の植え付け本数などを変え、日なたと日陰で栽培。7月には分げつ期の中ごろと終わりに比較研究の中間まとめ、夏休み中は分担して水やりと観察を続けた。穂が出てくる8~9月にかけてはレポート作り、特に9月はスズメ対策、かかし作りにも取り組んだ。10月は稲刈り、脱穀、もみすりにはげみ、何粒取れたかを調べた。11月には収獲した米を炊いて味わったほか、昔の稲わら利用法を調べ、実際に作った。

学んだことや状況の変化

児童の取り組みから見えてきたことは、稲の成長に対する興味・関心が栽培期間を通じて高く保たれたことだ。背景には稲の成長の日々の変化が関心を失わせなかったことが挙げられる。児童ひとり一人の稲づくりに対するスキルアップも見られた。いろいろな比較研究の方法を考え出して、その違いと特徴を発見するようになった。お米の知識が深まるにつれてニュースや新聞からの情報も集めるようになった。調べたことをグラフや短文、写真に活用して分かりやすく見やすくまとめる力がついた結果だった。その間、知恵を出し合ったので、みんな仲良く明るい雰囲気で学級生活を送るようになった。

第19回個人:千葉県6年生

研究内容

品種の違い(つきみもち(※もち米の品種)、コシヒカリ)と不耕起栽培の稲の違いを調べる。
バケツとペットボトルの比較と保湿ゼリー、再生土、通常の土(黒土、赤玉、鹿沼土)の種類と量による成長の違いを比べる。
種まきの時期による成長の違いを比べる。

学んだことや状況の変化

では、つきみもちの穂が12本で風にも強く、コシヒカリは10本で風に弱くすぐ倒れました。不耕起栽培の稲は、穂が早く出たが、花が咲かなかったので実らなかった。不耕起栽培の稲は栄養が足りなくて「バケツではむり!」と思った。
では、「土の量が多いほど大きく成長する」と予想をたてたが、大きさでは、土の量に関係なく同じように成長する」結果。収穫は土の量が多いほど多く、土の種類では保湿ゼリーは枯れた。穂の数はバケツの通常の土が一番良いことが分かった。
では、2週間ずらして植えても、穂が出るのは1週間ずれただけだ。

以上のことから、土の『量』はあまり重要ではなく、『田んぼの土』ということが重要で、少しくらいなら、植える時期がずれても大丈夫ということが分かった。

感想

稲のわらを使ってクリスマスリースとしめなわを作った。稲は、お米を食べるだけでなく、わらからいろいろな物を作ることができ、さらに、わらが魔よけになると知って、すごい!と思った。

第19回団体:広島県小学4年生のクラス

研究内容

自分で名前を付けた種もみから、米の成長の様子を観察することにより、米作りへの興味、関心を高めるだけでなく、成長に対する喜びや食べ物の命をいただくという感謝の気持ちを育てたいと考え取り組んだ。

学んだことや状況の変化

種もみの名前を付けて、「自分の赤ちゃん」として感情移入できるようにしたことで、稲を育てようという意欲が高まった。稲を育て調べるなかで、水の量の加減や稲の病気、害虫などの被害について学び、こまめに水の量や稲の様子を観察したり、防鳥ネットをかぶせたり、稲を守る方法を調べて工夫を重ねた。収穫への期待が、子どもたちの意欲をかきたて、どのようにしたら効率よく丁寧に脱穀・もみすりができるかなど、1粒も飛ばさないように考えながら取り組んだ。

収穫した米粒を数えたところ、50粒の種もみが1万74粒に成長したことに驚き、自分の赤ちゃんとして育てた稲の成長を、心から喜ぶ姿が見られた。

収穫祭として、自分たちで育てた米を日本の伝統料理のいなり寿司にして、全校児童分を作って分かち合ったり、米作りを通して学んだことを新聞にまとめたりしたことで、頑張って取り組んだ米作りの苦労を、喜びに変えることができ、食べ物の命をいただくという感謝の気持ちを育てることができた。

以上になります。いかがでしょうか?今回は、第13回と19回から、ランダムに事例を抜粋しましたが、みなさん、バケツ稲を育てている中で、どんどん稲への愛情が育まれているのが手に取るように感じられました。自分たちが食べる食物を育ててみて、大変さや収穫の喜びを実感できることから、いつも食卓にある食べ物の有難さや感謝の心が芽生えるようですね。
バケツ稲づくりの相談員としては、多くの方々に、その喜びを実感していただきたいと思います。

文:バケツ稲づくり相談員 小栗 千歌枝

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