毎日の食事は、子どもの体を作るものだから、なんと言っても栄養バランスが大切です。
子どもの成長に必要な、炭水化物、カルシウム、鉄、タンパク質などの栄養素について学びましょう!
胃腸で消化吸収された炭水化物は、体内でブドウ糖に分解され、基礎代謝や身体活動を支えるエネルギー源になります。中でも脳は、ブドウ糖だけをエネルギー源とします。脳の発達が目覚ましい乳幼児は、体全体の50%ものエネルギーを脳が消費してしまいます。脳の成長を支えるためにも、幼児にはきちんと炭水化物=主食をとらせることが大切です。
炭水化物は様々な食品に含まれていますが、特に米や小麦などの穀類に豊富に含まれています。ほか、イモ類や豆類、カボチャ・トウモロコシなど一部の野菜にも多く含まれます。
炭水化物と併せて、糖代謝をサポートするビタミンB1も積極的にとりましょう。ビタミンB1が不足すると、糖質をうまくエネルギーに変換できず、疲れやすくなったり脚気症状が現れたりします。ビタミンB1は、豚肉、豆類、魚卵などに多く含まれていますので主菜や副菜に上手に取り入れて下さい。
和食だけでなく、あらゆるおかずに合う“ごはん”は、塩、砂糖、脂、保存料などが添加されていない素材そのままの味を楽しめる食べ物。消化・吸収のスピードがゆっくりで腹持ちがよく、幼児の噛む練習や箸使いの練習にも適しています。原料である精白米には、炭水化物の他、たんぱく質、カリウム、ビタミンB1、食物繊維などが含まれています。玄米や雑穀を混ぜて炊けばビタミンEや鉄も補給でき、さらに栄養価アップ。ただ、玄米や雑穀は胃腸に負担がかかる場合もあるので、幼児にあげる時は柔らかく炊くなど工夫してください。
ほか、パン、うどんなどの麺類、ビーフン、春雨、おもち、オートミールなども炭水化物の量が多く主食になります。ごはんを中心に据えつつ、色々な食感と味わいを体験させてあげて下さいね。
カルシウムは人体に最も多く含まれているミネラル。体内のカルシウムの99%は骨や歯に存在しています。骨はカルシウムの貯蔵庫のような役割を果たし、必要に応じて血液中にカルシウムを溶け出させたり取り入れたりしています。カルシウムは、乳製品、大豆製品、小魚、海藻類のほか、小松菜・大根の葉・蕪の葉などの緑色野菜に多く含まれています。成長期にカルシウムが不足すると骨や歯の成長に支障が出ますので、積極的に摂るように心がけましょう。
カルシウムは体内に吸収されにくいことで知られており、吸収率の高い食品を選んで効率よく摂取することが大切です。
中でも牛乳をはじめとする乳製品は、カルシウム含有量が多い上、カルシウムの吸収をよくする乳糖やたんぱく質(カゼインホスホペプチド)が含まれており、カルシウム補給源の代表格と言えます。だからといって幼児に過剰に与えると、それだけでお腹いっぱいになってしまい、その他の必要な栄養素が十分とれなくなるので適量を心がけましょう。牛乳であれば1日にコップ1杯~2杯を目安としてコツコツ摂取してください。
さらに、カルシウムは、特定の栄養素と組み合わせて摂取することにより、吸収率を高めることができます。
カルシウムと食べ合わせることによって吸収率をよくする栄養素は、鮭・いくら・乾燥きくらげなどに含まれるビタミンD、春菊などの緑色野菜・海藻・納豆に豊富なビタミンK、酢・梅干し・柑橘類などに含まれるクエン酸、トマト・はちみつなどに含まれるフラクトオリゴ糖などです。
反対に食品添加物に含まれるリンは、カルシウムの吸収率を低下させます。食品添加物の含まれているインスタント食品やレトルト食品などの取りすぎには注意が必要です。
たんぱく質は、口から摂取されると、消化酵素の働きでアミノ酸に分解され、筋肉・皮膚・内臓・血液など体を構成する細胞の主成分になります。体の機能を調節する酵素やホルモン、神経伝達物質や免疫抗体などの材料にもなり、生命の維持に大きく関わっています。
身長が伸びる成長期の体にはたんぱく質が欠かせません。
たんぱく質のひとつであるコラーゲンは骨を大きく伸ばします。そこにカルシウムが加わることで硬い丈夫な骨が出来上がります。さらにたんぱく質は、筋肉を作り、成長ホルモンの分泌を促します。体を動かすエネルギーにもなり、運動量が多ければ多いほど必要になってきます。怪我をすれば組織の修復にも使われ、ウイルスや細菌から体を守る効果もあります。
欠乏すると、免疫力が低下し抵抗力が弱くなります。また、体重や基礎代謝力が低下して成長不良に陥ります。逆にとりすぎることで心配されるのは肥満です。また、体外へのカルシウム排出量が増えるため、骨が弱くなります。
たんぱく質は、一定期間を過ぎると分解されて体外に排出されてしまうので、常に新しいたんぱく質を補給していく必要があります。
たんぱく質は主に動物性の食品に多く含まれています。脂質が少なくアミノ酸のバランスのよいものは、牛肉・豚肉・鶏肉・鯵・鮭・牛乳・鶏卵などです。植物性食品の中では大豆製品が秀逸。幼児に食べさせやすい、納豆・高野豆腐・きな粉・海苔などからもしっかりとることができます。食品によって含まれるアミノ酸やその組み合わせが違うので、動物性、植物性まんべんなく、いろいろな食品から毎日適量を摂取するようにしてください。たんぱく質の代謝をサポートするビタミンB群を併せると、より効率がよくなります。
鉄は、赤血球中の成分(ヘモグロビン)として、肺が取り込んだ酸素を全身の細胞に運び、また、細胞から二酸化炭素を受け取って肺へ運びます。加えて、血液中の酸素を筋肉に取り込み、貯蔵する役割も担っています。
体が酸素を利用するために働く血液中の鉄や筋肉中の鉄は“機能鉄”と呼ばれています。対して、肝臓や脾臓、骨髄に存在する鉄は“貯蔵鉄”と呼ばれ、機能鉄が足りなくなると血液中に溶け出して補給する役割を担っています。
体内の機能鉄を使い果たし、貯蔵鉄まで不足してくると、めまい、動悸、息切れ、吐き気、食欲不振、疲れやすいなど様々な身体症状が現れます。酸素の運搬役(ヘモグロビン)が少なくなり、各臓器が酸素不足の状態になるからです。
成長期の子どもは特に、血液を作るために十分な鉄が必要です。でも、栄養バランスが偏った食事を続けていると、鉄不足に陥ってしまいます。鉄は体内では合成できないので、食事から十分に摂取する必要があります。
鉄は吸収率が低く欠乏しやすい栄養素なので、意識して鉄を多く含む食材を食卓に並べて下さい。鉄を多く含む動物性食品は、レバー、赤身の肉、カツオやマグロなど赤身の魚、シジミをはじめとする貝類などです。鉄の貯蔵庫であるレバー(肝臓)には特に鉄が多く含まれています。幼児には比較的くせのない鶏レバーが献立に取り入れやすいでしょう。ほか、ひじきなどの海藻類、納豆をはじめとする大豆製品、小松菜やほうれん草といった植物性食品にも多く含まれます。青菜には鉄の吸収を高めてくれるビタミンCも豊富に含まれているので、効率よく鉄を摂取することができます。