審査員からの応援メッセージ(小柳津 須看枝)

作品制作に取り組むみなさんへ

作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。

図画部門小柳津 須看枝(おやいづ・すみえ)

日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員。
1938年(昭和13年)東京生まれ。多摩美術大学絵画科油絵専攻を卒業後、東京都下の啓明学園で5年間の教員生活をおくる。その後、自宅で絵画教室を主宰。日本近代美術家協会運営委員他団体展に参加。副総理大臣賞特選をはじめ知事賞、奨励賞など多くの賞を受賞する。現代青年作家展選抜展(パリ・アンドレウェル)、パリ2000年祭マルセイユ展、スウェーデン展、亜細亜美術招待展など海外でも活躍する。

“遊び”の心をもって画用紙に向かおう
これまで審査にあたっていただいて、気付いたこと、感じたことはありますか?

子どもたちの感性がものすごく鋭くなっていることを一番感じます。子どもたちの進歩は想像以上に早く、素晴らしい才能を持っています。好奇心も旺盛で、独特の世界をもち、思ったらすぐ行動するのも特徴です。この要因としては、社会生活が大きく変わり、テレビやパソコン、携帯などで多くの情報を得ているからではないでしょうか。私が育ったころは「漫画は読んじゃだめ」「アニメもダメ」と言われました。でも、今やアニメは日本を代表する文化になっています。多くの様々な情報に囲まれて、子どもたちの感受性も豊かになってきていると思います。
私は表彰式後のパーティーの場で、作品と本人を照らし合わせるのが楽しみなのですが、高学年生は本人と作品のイメージがぴたっと一致しますが、低学年生はイメージがかけ離れていてびっくりすることがあります。パーティー会場では親御さんから子どもの将来について相談されることもありますが、「できるだけ本人の意志を尊重して」と答えています。このコンクールでの受賞をきっかけにして絵画の世界に進んだ子もいます。子どもたちの成長のステップになれば、審査員としてこれ以上うれしいことはありません。

先生が絵画に興味や関心をもったきっかけは何でしょうか?

私が子どもの頃は、授業の一環として首から画板を下げて野外に写生に行きました。半日がかりでしたが、写生大会は楽しい思い出です。そこで描いた作品が文化祭などで張り出され、入賞するとうれしく、親からも褒められ大きな励みになりました。我が家は父が絵のコレクターで、多くの絵の中から四季にあった絵が家の中に飾られていました。女4人、男1人の5人きょうだいの私は真ん中。父と母の趣味で琴も習うなど芸事は身近にあり、きょうだいは各々歌や踊りが好きになっています。私が絵を描くことが好きになったのは、家庭環境があったと思います。

絵画の道はどのように歩まれましたか?

高校卒業を控えて進路を決める際、私は美術学校へ行きたかったのですが、親からは「絵では食べていけない」と言われ、教師になることを勧められました。教師になることを条件に多摩造形芸術専門学校(現在の多摩美術大学)に入学しました。一番上の姉が進路の後押しをしてくれました。今でも姉には感謝しています。その後、東京都下のミッション系の学校に入学しました。全寮制でしつけなど厳しかったのですが、貴重な体験ができたと思っています。
学校を卒業後、自宅で絵画塾を開きました。3歳児から高校生まで多彩な子どもたちがきました。ある男の子は画用紙いっぱいにビルを描き、細かい窓をびっしりと描いていたので、花丸をつけたところ、「地震だよ」と言って紙を揺らすのです。この発想の豊かさにびっくりしました。若かった私は、時には教室で子どもたち相手にレスリングをしたり、体当たりで指導しました。

子どもたちはどのような姿勢で絵に向かえばよいとお考えですか?

絵を描くということは1つの“遊び”で、キャンパスや画用紙は自分の心の中を発散させる場です。決められた画用紙の中で表現することは、“勉強”ではありません。よく学校の審査会に呼ばれることもありますが、元気な子は元気な絵を描きます。子どもは飾らないことがよいのです。高学年になると格好をつけたがりますが、ストレートにそのまま描けばよいのです。人間はみんな違うように、絵もみんな違っていいのです。

子どもたちはこれから夏休みに入って作品制作に取り組みますが、制作にあたって子どもたちに期待することは何でしょうか。

「構図」「色彩」「表現」の3つが重要です。「構図」はデッサンをしっかり学ぶこと。「色彩」は3原色を合わせるとどんな色になるかを知ること。「表現」は自分が描きたいものを表すこと。子どもたちは指導者のちょっとしたアドバイスであふれるような能力を発揮します。小学校に美術の専科の先生がいれば、子どもたちの能力はグンと伸びます。人の目を意識せず、自分で思ったこと、感じたことを素直に絵に表現してください。

最近は写真を基にして描くケースが増えているようですが、どう思われますか?

1つの時代の流れで仕方ないことだと思います。日展に出品する大家の先生も写真を参考にする場合があります。ただ、写真に頼り過ぎるのではなく、自分の個性を出すことと“遊び”を入れること、自分の“目線”で仕上げることが重要です。

最後に全国の子どもたちへの “応援メッセージ”をお願いいたします。

明るく元気に、画用紙という1つの世界の中で思いっきり表現してください。絵の世界は自由であり、個性をストレートに出すことができます。ダンスは振付があり音楽は音符がありますが、絵は基本さえしっかりしていれば、あとは自由に個性を発揮していいのです。ぜひ思いっきり画用紙に向かって“自分の世界”を絵で表現し、できた作品は必ずコンクールに出品してください。

(平成25年6月取材)

他の審査員からの応援メッセージを見る

審査員からの応援メッセージ(50音順)

審査会委員長
中村 靖彦

東京農業大学客員教授、農政ジャーナリスト

作文部門
設楽 敬一

(公社)全国学校図書館協議会理事長

図画部門
岡村 泰成

美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員

作文部門
竹村 和子

(公社)全国学校図書館協議会常務理事 研究部長

図画部門
小柳津 須看枝

日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員

作文部門
堀米 薫

児童文学作家
(一社)日本児童文芸家協会理事

図画部門
中馬 誠二

季風会同人

作文部門
真鍋 和子

(一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師

図画部門
西巻 茅子

絵本作家
(一社)日本児童出版美術家連盟

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