審査員からの応援メッセージ(岡田 円治)

作品制作に取り組むみなさんへ

作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。

図画部門岡田 円治(おかだ・えんじ)

元(株)NHKアート代表取締役社長、日本美術家連盟準会員
1949年、東京都生まれ。1973年に日本放送協会に入社。報道畑を歩み、ドキュメンタリーのディレクターやプロデューサーとして活躍。「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」などの責任者を務める。2006年に編成局長、2008年に株式会社NHKエンタープライズ取締役、2010年に株式会社NHKアート代表取締役社長を歴任。現在は、杉並区の小中学校の学校運委協議会の委員や会長を務める。

審査にあたっていただいてきましたが、気付いたこと、感じたことはありますか?

題に「わたし」がついているせいでしょうか、「わたし」が垣間見える作品がとても多かったと思います。画面に描かれていなくても、描いている人の姿が絵から伝わってきます。対象と自分との関係の中で作品が描かれていて、今の子どもたちの「生きている喜び」とでも言っていいようなものが伝わってくる作品が多かったのが印象に残りました。

最近の子どもたちの作品について何か特徴がありますか。先生自身の子ども時代と比べてどうでしょうか?

コロナ禍で、子どもたちに鬱屈したものがあるのかなと思いましたが、明るい心の中を垣間見た気がします。絵を描くことは自分を表現することなのだというのは、子どものころはよく分かっていませんでした。子どもの頃に自分が描いた絵も、いくつか残っていますが、生物や風景を描いていて、自分を表現したというより、対象を客観的にとらえているもののように思えます。
本コンクールで出てくる絵は、食卓や水田、家族、友人などを描いている絵がほとんどですが、どれも描き手、即ち“自分”が表現されています。これはとても素晴らしいことだと思います。

先生が図画に興味・関心をもったきっかけは何でしょうか?

父が洋画家でしたので、物心ついたころから、クレヨンが周りに一杯あり、生活の中に絵がありました。家では子供向けの絵の教室を開いていました。父が亡くなったときに、母から聞かされたことなのですが、同じくらいの年齢の子どもたちと一緒だったら私が自然に絵を好きになるかもしれない、将来画家になってくれるかもしれないと思い、父は絵の教室を始めたのだそうです。当時は昭和30年前後ですから、塾もないし、絵の教室なども珍しかった時代です。ずいぶん遠くから習いに来ていた人もいましたし、芸術大学への進学を目指す高校生もいました。
私自身はその後、社会の様々なことに関心を持つようになって、仕事はテレビ局のドキュメンタリー・ディレクターを選択しました。絵は好きでしたが、社会人時代は仕事に追われて、絵画展に行ったりする程度でした。二年前から再び絵を描き始め、今は油絵に取り組んでいます。

子ども時代(成長期)に図画を描くことで得られるもの、喜びは何だとお考えですか?

絵を描こうとすると、対象をよく観察しないといけません。日頃ぼんやり見ている風景でも絵を描こうとすると、ちゃんと観察しなければならないことになります。人物を描くのならば、人を観察します。モノや人を良く観察することは、自分の視点をもつ訓練を積むことにつながります。対象物をみて、無意識のうちに自分はどう思うのかを考えていることになります。感性のみずみずしい時期にこうした訓練を繰り返すことはとても大事なことですし、社会に出てからも役に立ちます。

子どもたちは今後、作品制作に取り組みますが、制作にあたって子どもたちに期待することは何でしょうか。

絵がその時々の社会や時代を表現するものだとすると、今の小学生や中学生、10年20年後に日本社会を背負う人たちに、今の社会がどんなふうに見えているのかが分かり、とても興味があります。
コンクールでは、指導する先生、即ち大人が見ている世界を子どもに描かせてしまうことがままあります。私たちが期待することは、そうではなくて小中学生が自分の身の回りで見えている、感じている世界を画用紙に率直に描いていくことです。審査員の先生もそういった作品を待っているのではないでしょうか。

最後に全国の子どもたちへの “応援メッセージ”をお願いいたします。

絵を描くのが好きな子も、あまり得意じゃないと思う子もいると思います。うまい下手というか、整っているか整っていないかではなくて、絵にはもっと大切なことがあります。絵を描いた人の気持ちが画用紙に表現されているかどうかです。嬉しかったのか、ほっとしたのか、悲しかったのかなどです。絵を描いていると、気持ちがすっとします。集中して描いていると我を忘れます。無我の境地とはこういう気持ちを言うのかなと思う時があります。絵を描いた結果として喜びも2倍になります。その絵を見た人も嬉しくさせることができます。500年前に描かれた名画は今でも世界中の人を嬉しい気分にさせたり、心を癒してくれたりしています。喜びは2倍になるし、すっとした気持ちも2倍、周りもそんな気分にさせてくれる、こんなに素晴らしいことはほかにそんなにありません。ですから得意、不得意関係なく絵を描くことにチャレンジしてほしいと思います。

他の審査員からの応援メッセージを見る

審査員からの応援メッセージ(50音順)

審査会委員長
中村 靖彦

東京農業大学客員教授、農政ジャーナリスト

作文部門
設楽 敬一

(公社)全国学校図書館協議会理事長

図画部門
岡田 円治

元(株)NHKアート代表取締役社長、日本美術家連盟準会員

作文部門
竹村 和子

(公社)全国学校図書館協議会常務理事 研究部長

図画部門
岡村 泰成

美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員

作文部門
堀米 薫

児童文学作家
(一社)日本児童文芸家協会理事

図画部門
小柳津 須看枝

日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員

作文部門
真鍋 和子

(一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師

図画部門
西巻 茅子

絵本作家
(一社)日本児童出版美術家連盟

図画部門
東良 雅人

元文部科学省初等中等教育局視学官、京都市教育委員会総合教育センター副所長

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