JAグループ 食や農を学ぶ 「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール 審査員からの応援メッセージ(竹村 和子) 審査員からの応援メッセージ(竹村 和子) 作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。 竹村 和子(たけむら・かずこ) (公社)全国学校図書館協議会常務理事 事務局長 茨城県生まれ。茨城県公立学校教員として採用後、担任と兼務で司書教諭として、学校図書館教育に携わる。2012年公益社団法人全国学校図書館協議会入局。常務理事・事務局長。主な著書は、『その蔵書、使えますか?~図書の更新のすすめ~』(全国学校図書館協議会刊)、共著『ベーシック司書講座・図書館の基礎と展望 児童サービス論』(学文社刊)共著『学校図書館必携』(悠光堂刊)など。 多くの体験で心の「土壌」を耕して 長年、「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの審査に携わっていただいていますが、気付いたこと、感じたことはありますか。 教員時代は、夏休みに児童・生徒が、さまざまな思いを込めて書いた作品を取りまとめ、応募票を貼って学校近隣のJAに提出しに行っていました。ご縁があって全国審査に携わらせていただくようになり、これまでとは違う立場で、児童・生徒の作文を読ませていただいております。おかげさまで今は、地元のことだけでなく、全国の稲作事情を垣間見ることができます。また、「八十八の手間かけて」と昔教わりましたが、「米」一粒一粒の重みを、全国の児童・生徒の皆さんが書いた作文を通して改めて感じます。作品の中には、米の品種や米を使った郷土料理等々、地域色を感じることも多いです。「稲作」だけではなく、先祖から代々引き継いできた農業を続けていくことの難しさ、祖父母を中心とした農業に携わる家族の姿を見ながら、児童・生徒が、それぞれの年齢や立場で考え、表現しているものもあります。それぞれの家族や地域の歴史や伝統を次の世代に繋いでいけるように、今を生きている私たちがそれらのこととどう向き合い、次の世代に繋いでいくのか、直接農作業に携わっていないわれわれにも、問われている気がします。作品についてですが、書き手が本当に自分の中に課題意識や書きたいことを持って書いた作文は、語彙(ごい)や表現方法が多少不十分でも、読み手に訴えかけてくる力、作品の中に読み手を引き込んでいく力があると感じています。 最近の子どもたちの作品について何か特徴がありますか。 「お米とわたし」を夏休みの宿題で書いている児童・生徒もたくさんいるでしょう。全国各地で書かれた一人ひとりの作品を全て読んでいるわけではありませんが、全国審査会に出品されている作品を読ませていただくと、稲作に関することだけではなく、「食育」に関することも題材として増えているように感じます。「食物アレルギー」を取り上げている作品も、ここ数年増加しています。食品の品質表示やアレルゲンの表示が増えてきたこと。一昔前より、帰国児童・生徒や海外から移住してきた児童・生徒もおり、個々が置かれた環境のグローバル化も感じます。海外で食した米やその他の食材、料理について素直な視点で捉え、表現しています。「日本の米はおいしくて、その他の国の米は……」というような捉え方ではなく、それぞれの「よさ」を認めているところが素晴らしいと感じております。学校図書館の資料なども活用して、自分の課題について書物をひも解き、データを調べ、あるいはインタビューするなど、さまざまな情報を集め、活用して考え、表現している作品もみられます。こうしたことは、今、求められている力です。 応募作品を書くにあたって子どもたちに期待することは何でしょうか。 まず、気をつけてほしいのは、誤字・脱字や差別的な表現はないか、データの表記ミスはないかといった技術的な部分は、提出前に必ず確認することです。引用文との区別は付いているかなど、著作権に関することも意識しましょう。期待することは、自分の思いや考えが、ぎっしり詰まった作品です。そうした作品を書くためには、さまざまな体験も必要になるかと思います。それは、何も特別なことをするのではなく、日々の家の人の手伝い、友だちとのコミュニケーション、あるいはさまざまな本や新聞などを読んで、自分自身の心の中にある「土壌」をしっかり耕していってください。言葉の力、表現力は、一朝一夕に身につくものではありません。幼少期からの読書体験も大切です。学校図書館や地域の図書館、書店で実際にたくさんの本や新聞、活字と触れあって下さい。 全国の子どもたちへの応援メッセージをお願いします。 皆さんが、未来の日本を背負っています。毎日いただいている「食物」について、「農業」について、ちょっと立ち止まって見つめてみてください。考えてみてください。そして、ありのままの気持ちを表現してみましょう。あなたの作品を待っています。 (平成28年9月取材) 審査員からの応援メッセージ 尾木 直樹氏 教育評論家、法政大学名誉教授 メッセージを読む 岡田 円治氏 元(株)NHKアート代表取締役社長、日本美術家連盟準会員 メッセージを読む 設楽 敬一氏 (公社)全国学校図書館協議会理事長 メッセージを読む 岡村 泰成氏 美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員 メッセージを読む 竹村 和子氏 (公社)全国学校図書館協議会常務理事 事務局長 メッセージを読む 小柳津 須看枝氏 日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員 メッセージを読む 堀米 薫氏 児童文学作家(一社)日本児童文芸家協会理事 メッセージを読む 西巻 茅子氏 絵本作家(一社)日本児童出版美術家連盟 メッセージを読む 真鍋 和子氏 (一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師 メッセージを読む 東良 雅人氏 元文部科学省初等中等教育局視学官、京都市教育委員会京都市総合教育センター指導室長 メッセージを読む 位川 一郎氏 農政ジャーナリスト、元毎日新聞経済部編集委員 メッセージを読む 郡司 明子氏 群馬大学教授 メッセージを読む