審査員からの応援メッセージ(位川 一郎)

作品制作に取り組むみなさんへ

作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。

作文部門審査会委員位川 一郎(いがわ・いちろう)

農政ジャーナリスト、元毎日新聞経済部編集委員
1957年広島県呉市出身。東京大経卒。1981年から埼玉新聞社で記者、1988年からは毎日新聞社で記者として活躍。毎日新聞社では水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年に経済部編集委員として、国交省、農水省、総務省などを担当。その後、毎日新聞紙面審査委員、記事審査委員を務め、2022年に退職。現在に至る。

位川審査員にとって「ごはん・お米」とはどのようなものですか?ごはん・お米、にまつわる思い出を教えてください

 実家が中山間地域の兼業農家だったこともあり、子どものころは田植えや稲刈りなどの米作りをよく手伝っていました。ご飯は大好きで、朝食はほぼ毎食お米を食べています。過去の受賞作品を読んで、近所の人と協力し農作業を終えたときの達成感、泥が足に触れる感覚や美しい農村風景の描写にとても共感しました。
 大学進学に伴って実家を離れたのですが、今は亡き父が実家で作ったお米を送ってくれていて、当時はお米を買うことはなかったですね。今思えば、両親は「家族が食べるお米は自分たちが作る」という気持ちだったんじゃないかなと思います。

位川審査員が文章を書くことに興味や関心を持ったきっかけはなんでしょうか?新聞記者をめざしたきっかけについても教えてください。

 文章を書くきっかけとなったのは、中学入学時に父が日記帳をプレゼントしてくれたことです。B5版の、書籍型のしっかりしたタイプのものでした。
書いていた内容は忘れてしまいましたが、ほとんど毎日、頭に浮かんだことを書き留めていました。毎日書こうと思っていたわけではありませんが、書くうちに習慣となり、学生時代まで10年くらいは書き続けたと思います。
 そういった経験が生かせたかは分かりませんが、縁あって新聞記者という文章を書く仕事に出合うことができました。

子ども時代に作文を書くことで得られるもの、喜びは何だとお考えですか。

 自分が見たこと、聞いたこと、調べたこと、疑問に思ったことを文字にすることはとても楽しい作業です。自分の気持ちを表すのにパズルのピースがはまるようにぴったり当てはまる言葉がみつかる、そんな喜びを感じてもらえたらいいなと思います。
 また、文章を書くうちに考えていたことの答えが見つかることもあります。自分の書いた文章を読んで「次はこうしよう」と思うきっかけになることもあります。そういった喜びや気付きを感じてほしいですね。

作文部門審査会委員としての思い・意気込み等をお聞かせください。

 このコンクールの審査員を初めて経験させていただきますが、未来を担う子どもたちが、ごはん・お米についてどう考えているのかを知ることができるのをとても楽しみにしています。大人である自分にとっても「お米とはなにか」を改めて考える良いきっかけになると思っています。
 日本の子どもたち全般的に言えることですが、特に都市部ではお米や農村について深く考える機会が少なくなっていると思います。一方、過去の受賞作品は、お米が大好きな気持ちやSDGs(持続可能な開発目標)についてなど、想像以上にしっかりした表現で書かれており、頼もしく思っています。

文章を書くときに気を付けたい点、応募作品に取り組む子どもたちに期待することを教えてください。

 毎日新聞社に勤めて最後の10年は、紙面審査委員、記事審査委員として主要新聞を読み比べていました。優れた文章というのは、事実を書き表すことに加えて、物事を捉える目や、筆者の率直な感情がにじんでくるものが多いです。こう書けば褒められる(怒られる)など余計な心配をせずに、まずは自分の素直な気持ちをそのまま書きつづってほしいですね。そのあとで、この表現は自分の気持ちに合っているのか、他の人が読んだときにどう感じるか何度も考えて直してみてください。
 あとは基本的なことですが、日本語として表現を間違えていないか、誤字脱字がないかはしっかり確認できるといいですね。

最後に全国の子どもたちへの“応援メッセージ”をお願いします。

 文章を書くことは本来、とても楽しいことです。私は日記を書くときに「自分の感情を正確に言い表そう」と思っていたことを覚えています。たくさんの人に読まれる文章を書くときは人の目を気にしがちになってしまいますが、多少型破りでも素直な気持ちを書いてみてください。「ごはん・お米とわたし」というタイトルのコンクールですが、例えば「パンのほうが好きなんだ」という文章でもいいんです。農作業だって詳しく分かっていないからこその感じ方や表現があります。そこに面白みや魅力が生まれる場合もあります。分からないことを取り繕ったり、完璧に書こうとしたりしなくていいので、難しく考えずに書いてみてください。

他の審査員からの応援メッセージを見る

審査員からの応援メッセージ

審査会委員長
尾木 直樹

教育評論家、法政大学名誉教授

図画部門審査会委員
岡田 円治

元(株)NHKアート代表取締役社長、日本美術家連盟準会員

作文部門審査会委員
設楽 敬一

(公社)全国学校図書館協議会理事長

図画部門審査会委員
岡村 泰成

美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員

作文部門審査会委員
竹村 和子

(公社)全国学校図書館協議会常務理事 事務局長

図画部門審査会委員
小柳津 須看枝

日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員

作文部門審査会委員
堀米 薫

児童文学作家
(一社)日本児童文芸家協会理事

図画部門審査会委員
西巻 茅子

絵本作家
(一社)日本児童出版美術家連盟

作文部門審査会委員
真鍋 和子

(一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師

図画部門審査会委員
東良 雅人

元文部科学省初等中等教育局視学官、京都市教育委員会京都市総合教育センター指導室長

作文部門審査会委員
位川 一郎

農政ジャーナリスト、元毎日新聞経済部編集委員

図画部門審査会委員
郡司 明子

群馬大学教授

  • 作文・図画コンクールトップへ戻る