JAグループ 食や農を学ぶ 「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール 審査員からの応援メッセージ(岡村 泰成) 審査員からの応援メッセージ(岡村 泰成) 作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。 岡村 泰成(おかむら・たいせい) 美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員 1935年(昭和10年)東京都生まれ。大蔵省印刷局技官として紙幣デザインを担当していた父の影響で絵を描き始める。大手広告代理店などでアートディレクターとして活躍した後、本格的に絵画制作を始める。物語をはじめ静物、社会現象など幅広いテーマの作品を発表し、数々の受賞歴を誇る。2013年(平成25年)に美術家集団「Moss Spirits」を立ち上げ代表に就任。 ホームページアドレスは「泰成ギャラリー」 ここ10年ほどは、作品のレベルが急速に上がってきたと思います。一時はおにぎりや顔をアップにした作品が多く見られましたが、最近は豊作を願うお祭りや催事、田植え、収穫作業などテーマ性をもった作品が増えてきました。とてもよいことだと思います。また、米作りの絵でも、バケツ稲づくりや農薬を使わないアイガモ農法など幅広く取り上げていることが目立ちます。 最近は田植え機による植え付けがほとんどですが、昔は手で植えていました。こうしたことをおじいちゃんやおばあちゃんなどから言葉だけで学ぶのではなく、しっかり体験して絵にしていることが実感できます。学校でも授業の一環として稲作りを行っているところもあり、丁寧に植える子どもたちの列が水田に映った作品には感動しました。低学年の作品にも変化が見られます。お米は給食に関わる風景を描いた作品が多かったのですが、運動会や地域のお祭り、野球やサッカーの試合時のお弁当にも使っている様子を描いています。 父が大蔵省印刷局でお札の図案を担当しており、家に帰ってからも花など精密に描いていました。父は疎開先では野原にスケッチに出かけ、私も隣でイーゼルを立て、“門前の小僧”のように自然に絵を描くことに向かっていました。高校卒業の時、「絵描きでは食えないから教師になれ」と言われましたが、美術の道を志し、芸術系の大学に進みました。絵の世界は1+1が2にならない世界で、正解は1つではありません。解釈次第で50点にも100点にもなります。奥が深く面白い半面、大変な世界です。文学も同じでしょう。 まず絵が好きになること、そして自分で面白い絵を描くことです。人から言われてやったら面白い絵にはなりません。面白い絵を描くコツはよく観察すること、興味を持つことです。たとえば米作りであれば、苗を植える→育てる→収穫する→食べるの一連の流れの中で、どこかに必ず興味がわく場面があるはずです。そこを探して自分で工夫して絵にすること。そして、絵を描いたら終わりではなく、出来上がった作品は必ずコンクールに出すこと。賞をとったらもっと楽しくなるし、大きな励みになり、成長のバネになります。表現の仕方は見て学びましょう。他人の絵を参考にしてもよいし、できるだけ有名な絵(作品)を見ることで自分の力が上がってきます。絵もサッカーやピアノと同じで、好きなことは一生懸命になるものです。 絵を描く上で大事なことは自分なりの選択基準をもち、しっかりと「状況描写」をすることです。米作りの一連の流れの中で着眼点をどこにおくか、どこに心を引かれたか――の観察力が重要で、心をひかれたことを絵にするのです。状況をつかむために写真をとることもあってよいでしょう。ただ写真どおりに描いては感動は生まれません。写真はあくまでも参考とし、何に感動したのか、感動の場面を絵に描くのです。「ごはん・お米」の題材は農村だけでなく、都会にも十分あります。米をとぐ、チャーハンやオムライスなどに調理する。「お米って不思議だな、いろんな食べ方ができるな」などの視点では、都会の子どもたちの方が敏感かも知れません。 「ごはん・お米」は日本全国どこでも身近にあるものです。子ども自身がごはん・お米に興味や関心をもつきっかけづくりを、ぜひ親御さんにやってほしい。もちろん学校の先生方にもご指導をお願いしたいですね。子どもたちはごはん・お米に興味を持つことによって、なぜ春から梅雨時に田植えをして秋に収穫できるのかなどが分かってきます。 描いた作品は、ぜひコンクールに出品しましょう。出品するという目標をもって努力することはこと何事にも代えがたい“宝物”になります。1回でなく何回でも出してください。それだけ“宝物”が増え成長のステップになります。「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの作品集をよく見て「自分もこういう作品を描きたい」と思ってください。 (平成25年6月取材) 審査員からの応援メッセージ 尾木 直樹氏 教育評論家、法政大学名誉教授 メッセージを読む 岡田 円治氏 元(株)NHKアート代表取締役社長、日本美術家連盟準会員 メッセージを読む 設楽 敬一氏 (公社)全国学校図書館協議会理事長 メッセージを読む 岡村 泰成氏 美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員 メッセージを読む 竹村 和子氏 (公社)全国学校図書館協議会常務理事 事務局長 メッセージを読む 小柳津 須看枝氏 日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員 メッセージを読む 堀米 薫氏 児童文学作家(一社)日本児童文芸家協会理事 メッセージを読む 西巻 茅子氏 絵本作家(一社)日本児童出版美術家連盟 メッセージを読む 真鍋 和子氏 (一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師 メッセージを読む 東良 雅人氏 元文部科学省初等中等教育局視学官、京都市教育委員会京都市総合教育センター指導室長 メッセージを読む 位川 一郎氏 農政ジャーナリスト、元毎日新聞経済部編集委員 メッセージを読む 郡司 明子氏 群馬大学教授 メッセージを読む