審査員からの応援メッセージ(中馬 誠二)

作品制作に取り組むみなさんへ

作文・図画作品の制作に取り組む皆さんへ向けた、審査員のみなさんからの応援メッセージを紹介します。

図画部門中馬 誠二(ちゅうま・せいじ)

季風会同人
1930年、札幌市生まれ。グラフィックデザインを学び、1960年、NHKにテレビタイトルデザイナーとして入局。テレビ番組のデザイナー、アートディレクターとして、「ニュースセンター9時」「教養特集」「劇場中継」などの報道・教養・芸能番組を担当。1978年から催事部門のプロデューサー、ディレクターとして、「日本国際音楽コンクール」や「世界らん展日本大賞」などの構成、演出、制作などを手掛け、1991年に退職。スポーツや芸術等を振興する複数の非営利組織の運営に携わっている。

感性を大切にして描くことを心から楽しもう
先生にとって「ごはん・お米」はどのようなものですか?

私は札幌市で生まれ育ちました。当時は、冷涼な気候に耐えられる米の品種がなく、北海道ではおいしいお米を作ることが困難でした。でも、今では品種改良が進み、ずいぶんとおいしいお米が取れるようになりましたね。
私は戦争も体験しました。食べ物は配給制でしたから、ひもじい思いをしました。白いごはんを食べられても、ほんの少しです。そうは言っても北海道は農業が盛んですから、東京などの都市部から比べたら食料に関しては恵まれていたのではないかと思います。
私は大学に入学してすぐ、片方の腎臓を摘出しなければならない重い病気にかかりました。また、社会人になってからは胃かいようで手術をしました。若い時に病気で大きな手術をしたので、健康には気を遣っています。NHKに入局して「きょうの健康」という番組を12年間担当した経験も影響しているのでしょう。体のつくりや病気になる仕組みを分かりやすく伝える模型などを作るのが仕事でしたから。また、消費者にもっと水産物に親しんでもらうための仕事にも携わり、青魚が体に良いことを知りました。それ以来、意識して青魚を食べるようにしています。ごはんを中心にした和食を心掛けることで、80歳を過ぎてもこの通り、元気です。
仕事で海外に行く機会があります。帰国して白いごはんを食べると、やはり日本のごはんは本当においしいなぁと感じます。日本のお米のおいしさは海外でも評価が高いというのを見聞きすると幸せな気持ちになり、「日本人に生まれて良かった」と思います。

先生が絵画に興味や関心を持ったきっかけは何でしょうか。

父は建築家で、祖父は書家でした。いとこは、現代でいえばアートディレクターのような仕事をしていました。芸術に触れる機会が多い環境で育ったことが影響しているのでしょうか、絵画も音楽も好きです。
いとこは油絵を描くのが趣味で、私はいつもその様子を見ていました。戦争で出征することになった時、油絵の具を残していってくれました。私は小学生でしたが、その油絵の具を使って絵を描いていました。その時は分かりませんでしたが、当時としては、かなりぜいたくなことをしていたのですね。
NHKで働き始めてからは、仕事のためにさまざまな分野の美術書を見たり読んだりしました。それでさらに美術への関心が高まり、「季風会」という絵画グループを作って展覧会をしたりするようになりました。私は山が好きで、昔から山の絵を描くことが多いです。

長年、「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの審査に携わっていただいていますが、気付いたこと、感じたことはありますか。

絵の背景に描かれた風景などから、時世を感じることがあります。東日本大震災後の応募作品には、津波が引いた後の荒涼とした背景が描かれたものもありました。
地域性や流行を感じることもあります。ある有名な版画家の出身地からの応募作品の中に、その版画家の影響を受けたと思われる作風の作品が目立ったことがありました。指導する先生の力が大きかったのだと思いますが、子どもたちなりに版画家の作品に感動し、それが作品に反映されたのでしょう。子どもたちは見たもの、聞いたもの、あらゆるものから刺激を受け、さらに吸収して、作品を作っているのだと気付かされました。

どんな点に着目して審査をしていますか。

まずは、子どもの素直な目線で見た、子どもらしい感性をそのまま表現しているかを見ています。子どもの時にしか描けない絵というのがあるのです。
表彰式が終わった後、受賞した児童・生徒と話をする機会があります。目を輝かせて、絵を描いたときの気持ちや、どうやったらもっといい絵を描けるのかと質問してくる姿を見ると、絵を描くことを心から楽しんでいる様子が伝わってきて、私はとても楽しくなります。

子どもたちが応募作品を制作するにあたってどのようなことに留意して描ければいいでしょうか。

感じたままを描いてください。もちろん、より分かりやすく伝えるために描写法などを学ぶのは大切なことです。でも、ベースとなるのは皆さんの感性で描いた絵です。美術の先生の指導力は大きく、やり方によってはみんな同じような絵になってしまうことがあります。指導する側の大人には、その点に気を付けてほしいです。

全国の子どもたちへの“応援メッセージ”をお願いします。

みなさんの絵を見ていると、教えられることがたくさんあります。人物を描くのはとても難しく、家族団らんでごはんを食べている絵を描くのは大変なはずです。でも、作文・図画コンクールに応募される作品は、みんな、おいしそうに、穏やかで幸せな表情でごはんを食べる姿が描かれています。大変な農作業の様子であっても、どこか幸せそうです。だから、私はこのコンクールが大好きです。みなさんから素晴らしい作品が届くのを楽しみにしています。

(平成28年8月取材)

他の審査員からの応援メッセージを見る

審査員からの応援メッセージ(50音順)

審査会委員長
中村 靖彦

東京農業大学客員教授、農政ジャーナリスト

作文部門
設楽 敬一

(公社)全国学校図書館協議会理事長

図画部門
岡村 泰成

美術家集団「Moss Spirits」代表、日本美術家連盟会員

作文部門
竹村 和子

(公社)全国学校図書館協議会常務理事 研究部長

図画部門
小柳津 須看枝

日本美術家連盟会員、元サロン・ド・トウキョー運営委員

作文部門
堀米 薫

児童文学作家
(一社)日本児童文芸家協会理事

図画部門
中馬 誠二

季風会同人

作文部門
真鍋 和子

(一社)日本児童文学者協会評議員、日本大学芸術学部講師

図画部門
西巻 茅子

絵本作家
(一社)日本児童出版美術家連盟

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