幼穂から穂になる過程の見分け方、夏休みの水管理などの注意点

バケツ稲づくり相談室では、全国からの問い合わせに対応するため、北海道「ななつぼし」、青森県「まっしぐら」、秋田県「あきたこまち」、鹿児島県「あきほなみ」、セットの品種、「コシヒカリ」と「日本晴」、黒米「朝紫」を栽培しています。

中干し後の水管理

出穂した「まっしぐら」(左)と「ななつぼし」

中干し直後から出穂まで

中干し直後の水管理の仕方として、マニュアルには5cmの水を入れてくださいと書いてありますが、もっと丁寧な水管理の仕方もご紹介しておきます。まず2cmの水を入れて、なくなったら2cmの水を再度入れる間断灌漑(かんだんかんがい)という作業を4、5回繰り返した後、5cmの水を入れて穂が出るまでは、5cmの水位を保つようにしましょう。

中干しが終わった頃から、幼穂ができる穂ばらみ期に入ります。この穂ばらみ期から出穂期は、稲の生育期間中で最も水が必要な時期です。この時期に水切れになると穂が出にくくなり、途中で出穂が止まってしまう場合があります。昔からこの時期の水のことを「花水(稲の花が咲く時期に必要な水)」といい、重要視されています。やや深水にして急激な環境変化を与えないようにして優しく育ててくださいね。

穂の登熟期から成熟期の水管理

出穂から10日くらい過ぎると登熟期に入ります。この時期の水管理は、間断灌漑による水管理を行い、暑さと稲の老朽化などによって発生する根腐れを避けながら、登熟に必要な水分と養分をできるだけ供給するようにしましょう。また、この時期に台風が接近している場合は、間断灌漑をやめて、水を溜めてください(暖かくて乾いたフェーン風などよって発生する白穂の予防になります)。

幼穂ができる時期の追肥

中干し後、水を入れて戻すと、そろそろ穂の栄養補給のために追肥する時期になります。

バケツ稲づくりセットの肥料は追肥をしなくてもよいように、肥料成分である窒素の50%が緩行性となっており、穂ができる頃に緩行性の肥料が効くように工夫されています。ただし、バケツ(10~15リットル)よりも大きな容器を使って大量の土で栽培している場合や、バケツ1つに2株も3株も植えているような場合は、肥料が足りなくなりますので追肥してください。

肥料は、園芸店やホームセンターなどで販売されている窒素、リン酸、カリの3要素の化成肥料になります。窒素、リン酸、カリの配合が8%ずつのもの(パッケージに8-8-8と表記)であれば約6g、15%のもの(パッケージに15-15-15と表記)であればその半分の約3gを入れます。

まず、土に棒などで根を傷めないように穴を開けて、その中に肥料を埋め込みます。追肥した場合も、セット肥料を適量入れている場合も、この時期は肥料過多の傾向になりますので、肥料濃度障害を避けるため、ある程度の水量が必要になります。

穂が出たらすぐにスズメ対策を

出穂したらすぐにスズメ対策として網を張ってください。網の目が細かすぎると密封状態に近くなり、湿気が発生してイモチ病の発生率を高めます。スズメが入れない程度の大きさで、網目の荒いものを選んでください。出穂直後に1羽の偵察スズメが現れて、ちょうどお米が出来る頃に仲間と一緒に食べにきます。その場合は、あっという間に全て食べられてしまいますので、出穂直後に油断することなく対策することが大切です。

夏休みの水管理

中干し直後から出穂まで

夏休み期間は、家族旅行などで家を留守にする機会があると思いますので、そんな時の水管理のポイントをご紹介します。

バケツを入れる器

1. 2、3日留守にする場合
2リットルのペットボトルに水を入れて、ペットボトルのふたに穴をあけて閉めます。水をいっぱいにはったバケツに、ふたを下にしてペットボトルをバケツに差し込みます。バケツの水位が低くなると、ペットボトルから水が少しずつバケツに移動していき、水を補給します。気温にもよりますが、この方法で2、3日程度であれば大丈夫でしょう。
2. 1週間ほど留守にする
バケツよりも深くてバケツがすっぽり入る容器を用意し、バケツ稲ごと容器に入れます。バケツの高さからさらに5cmほど高い位置まで水を入れておきます。通常は、日中と夜には気温差がありますが、今年は夜もあまり気温が下がらないために、バケツ稲の水がすぐになくなる傾向があります。少し多めの水を入れてもいいでしょう。

最後に稲の花の説明を!

稲の開花

稲の花は、なかなか見ることができない貴重な花です。バケツ稲を身近に置いて毎日かかさず観察していれば、限られた時間しか咲きませんが、きっと見ることができるはずです。稲の花は、穂が出てからすぐに咲きます。咲く時間帯は午前9時から12時までの3時間内ほどしかありません。見逃さないように、観察しましょう!

稲の花は、花と言っても花弁があるのではなく、籾の真ん中が2つに割れて、中にあるおしべが籾から外に出ます。この状態を花が咲くと言います。その後、受粉して籾はまた元のように口を閉じてしまいますが、この時に、おしべが外に出たまま籾が閉じています。花が咲いた状態を知らないと、籾の閉じた状態でおしべが外に出ているのを見て、花が咲いたと勘違いしてしまう場合があります。

文:バケツ稲づくり相談員 小栗 千歌枝

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