穂が出てからお米になるまで

バケツ稲づくり相談室では、全国からの問い合わせに対応するため、北海道「ななつぼし」、青森県「まっしぐら」、秋田県「あきたこまち」、鹿児島県「あきほなみ」、セットの品種、「コシヒカリ」と「日本晴」、黒米「朝紫」を栽培しています。

穂が出てから収穫までの全体の流れ

稲の花が開いて受粉 3日後子房ができる 6日後子房の成長 10日後もみ一杯になった子房

茎の中で穂がだんだん大きくなり、茎の間から穂全体があらわれます。この時の穂の状態は、緑色でまっすぐに上に伸びています。穂が出るとすぐに花が咲きます。稲の花は、午前9時から2~3時間しか咲きません。もみが2つに分かれて中からおしべが外に飛び出し、受粉した後2つに分かれたもみは、再び1つに戻ります。その後はおしべが外に出たままになるので、花が咲いた後だということがよく分かります。

受粉したもみには、葉でつくられた栄養が、もみの中のめしべの根元(子房)へ運ばれ、でんぷんになります。最初はどろどろしたミルク状のでんぷんが、少しずつ固まって米になります。でんぷんが固まるにつれて、重くなるので穂の頭がだんだんたれてきます。もみが重くなるにつれて、もみの色は黄金色に変わっていきます。穂が出てから1日の平均気温の積算(ある数値をすべて足したもの・この場合は一日の平均気温を全部足したもの)で1,000度に達した時が収獲時といわれていますが、ほとんどが見た目で収穫されているようです。

穂が出てから35~45日の間で、穂の全体の90%が黄金色になったころが収穫の目安です。

穂が出た後の水管理

頭が垂れる 40日目は黄金色

穂の登熟期から成熟期の水管理

稲の成長過程で最も栄養が必要な時期は、第6号でご紹介した幼穂のでき始めから出穂期、登熟期までになります。穂が出てから10日間は穂の登熟期に入り、徐々に成熟していきます。

開花や受粉を行うために多量の水が必要になりますので、常に水をため続けて、稲に十分水を供給します。この時期に水不足になると栄養が十分供給されずに、粒の中心が透明ではなく白っぽい「心白(しんぱく)米」、登熟しきれず、玄米の皮に緑色の葉緑素が残っている「青米」、粒の胚芽(はいが)のある横の方が白っぽくなった「腹白(はらじろ)米(逆は背白(せじろ)米)」などの不完全な米になります。

栄養の供給を促進しながら、残暑と稲体の老朽化による根腐れを防ぐために、穂が出てから10日間ずっと水をため続けた後は、2、3㎝ほど水を入れて、蒸発してなくなりそうになる手前で再度2、3㎝の水を入れるようにします(水を深めにためることで保温効果が高くなるため、残暑で高温日になる場合は、水を浅くためて温度を下げる工夫をします)。

収穫前のもみの状態に関しての質問コーナー

この時期、バケツ稲づくり相談室にもみの状態に関してのよくある質問です。参考にしてください。

穂の全体が黄金色になっているのですが、少し黒くなっている
もみと白いもみがあります。これはどういう現象ですか?

原因は、黒くなっている状況によって違います。

  1. 1つのもみに黒い点のようになっている場合の多くはカメムシです。もみの登塾途中の液状の時期に、口からでている針をもみに刺して、そこから中の養分を吸い取ってしまいます。もみに開いた穴が空気に触れることで細菌が繁殖して、カビなどが発生して黒くなります。
  2. 1つのもみ全体にかかるように黒っぽい、もしくは茶色に変色している場合は、強風などでもみに傷がついてそこに細菌が繁殖して変色したものです。
  3. 1つのもみにたくさんの黒い斑点ができる場合は穂イモチ病などの感染が原因です。穂だけではなく葉や茎も同様の病気がみられますので、自然現象か病気かの区別は容易につきます。
  4. もみの中に米が入っていない白穂の場合も同様に、原因の多くは害虫と環境が関係しています。【穂が出た後の水管理】でも説明していますが、幼穂のでき始めから登熟期・成熟期にかけて水が一番必要になる時期ですが、この時に水不足になった場合や、幼穂ができ始めの時期に気温が急激に下がった場合は白穂となります。この場合にできた米の色は、ミルクのように白くなっていますが、十分食べられます。
    また、分げつ期にウンカやニカメイチュウなどの害虫に栄養を吸い取られた場合などでは栄養不足で白穂になります。害虫が原因で白穂になる時は、もみの中は空洞になっている場合が多くなります。

文:バケツ稲づくり相談員 小栗 千歌枝

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