芽出しから分げつまでの「知られざる世界」
芽出しから分げつまでの知られざる世界
バケツ稲づくりのスタートは「芽出し」から始まります。 水につけた種もみから出てくるのは、「芽」と「根」です。写真では上向きで短く出ている方が「芽」になります。下に伸びている方は「根」になります。 こんなに小さな種もみから出てきた「芽」は、1メートル近い長さまで茎が育ちます。
また茎は、一次分げつと言って、親茎(主茎、主かん)から枝芽が一本ずつ出てきます。さらに、一次分げつの節からも孫分けつ(二次分げつ)がでてきて、1本からは数十本にも増えます。実際に育てる時は、1本ではなく、3~5本くらいを1株として植えます。バケツの土の容量などで分げつの芽は退化して1本につき7~8本くらいになります。3本植えだと1株で20本~25本くらいですね。
放っておくと、どんどん増え続けるのかと思えば、穂(実)を付け始める前に分げつは止まります。最後に作られる、茎のいちばん上につく葉を止葉(とめは)と呼びます。親茎の止葉は、早生品種で12枚目、中生品種で13枚目、肥料の量などの栽培条件によって変動しますので、目安を10枚~15枚目くらいみておきましょう。 また、稲の茎の節目の外側の部分を葉鞘(ようしょう)といいます。その節目の周りには、葉舌(ようぜつ)と半透明のわっかの様な葉耳(ようじ)があり、葉耳には白い産毛が生えています。
時々、このわっかと産毛は何ですか?とお電話をいただきます。葉舌は、葉鞘に雨水が入らないように、また、葉耳は茎から葉 身が離れないように備わっていると考えられています。産毛の役割は、現在でもはっきりと判明していないようです。一般的には害虫から守る役割などがあるよ うです。この部分は、良く観察しないと気付きにくいですね。
稲の花ってどんな花?
右の写真は、稲の花が咲いている状態です。他の植物の花の様に花びらが開くイメージではなく、もみが二つに割れた状態になります。この状態を知っていないと花が咲いているとは気付かないことが多いですね。もみが開くと、中におしべとめしべがあります。この時に受粉して穂の元(幼穂(ようすい))を作る準備に入っていきます。
さあ、穂ができていき茎の間から、にょきっと顔を出します。
穂の中はどうなっているのでしょうか?まだ若い穂を開いてみると、中身は白いミルク状の液体で、これはデンプンです。稲の根は土の中から養分を吸い上げて茎や葉に送り、茎や葉は養分からデンプンを生成して、全ての栄養を一生懸命、穂に送ります。
穂の中はデンプンで満杯になり、次第に固まって(実って)米になります。